幸せな熟年者の再婚|一度の人生、必ず幸せ者になりましょうね。

幸せな熟年者の再婚|一度の人生、必ず幸せ者になりましょうね。

【ひとりぼっちになる】

 

わたしは、現在48歳です。36歳のとき離婚しました。
夫とは学生時代からのつきあいでした。20歳から付き合いだして5年の交際を経て双方の両親からも祝福された幸せな結婚をしました…いえ、したつもりでした。

 

夫は商社マンで海外出張も多くて不在がちでしたが、
わたし自身も税理士事務所で働いていたので、毎日忙しく過ごしていました。
理由はここには書きませんが、辛い思いをして離婚することになりました。

 

経済力があったので、何もいらないから別れて欲しいと頼みました。

 

夫は契約違反だと言って怒りましたが、わたしは身のまわりのものだけカバンに詰めて実家に帰りました。

 

実家の父はもう亡くなっていて、母は好きにしたらいいよ、と言ってくれました。
それから、いっそう仕事に精をだして、最初はただの事務員でしたが、税理士の勉強をはじめて、
5年がかりで資格を取得しました。男性に負けたくありませんでした。

 

心の奥底には、別れた夫を見返してやるという意地がありました。ぜったいにひとりで幸せになるんだと、思っていました。

 

母との暮らしは快適でした。わたしは娘に返って、
洗濯をしてもらったり食事の世話を焼いてもらっていました。

 

ですが、二年前くらいから母の様子がおかしくなりました。同じことを繰り返して言うようになり、ゴミ出しの日を間違えたり、
今日はご飯はいらないから、と言って出ても夜遅く家に帰るとテーブルの上にお皿が並んでいたりしました。

 

認知症ではないかと疑い、病院に連れて行きました。軽度アルツハイマー病との診断でした。

 

母との安穏とした暮らしが崩壊するかもしれないということに、はたと気づきました。

 

母は健康なので若く見えますが、もう75歳です。母はこうしてわたしと暮らしているので、
経済的にも精神的にも安心ですが、いったいわたしはどうなるのだろう、と考えました。

 

兄弟姉妹がいないので、まったくのひとりぼっちになります。

 

【残された時間を有意義に生きる】

 

50歳を目前にして、母の年齢まで25年しかありません。
いつの間にか前の結婚をしてから25年近くがたったのです。
世間では、熟年と言われる世代にいたのです。あっという間でした。

 

そう考えると、これからの25年という時間がいかに短いかがわかります。

 

片意地はって、男性と肩をならべようとがんばってきたことが急に無駄だったように思えてきました。

 

母を放って出ていくようなことは絶対にしませんが、
このまま彼氏のひとりも作らずに生きていくということが、砂漠のなかをたったひとりで放浪するような気持ちになりました。

 

わたしは鏡を見ました。顔のはりが失われ、目じりには皺があります。
いつの間にこんなに老けてしまったのでしょう。次の休みにエステに行ってみました。

 

顔のマッサージをしてもらったら心なしかはりが戻ったような気がしました。
帰りには服を買いました。

 

わたしには、離婚した友人がけっこういますが、その人たちは子どもがいるので、出ていくことができません。

 

また経済的にもしんどいようで、もっぱら食事に行ったりするのは、
10歳くらい下の独身の女性が多いです。そうやって一緒に遊んでいるうちに、
わたしは自分まで若いような勘違いをしていました。

 

急に恥ずかしくなりました。そんな独身女性にはたいてい彼氏がいます。

 

旅行とかは彼氏と行くようで、わたしは日帰りもふくめて一緒に旅行する友達がいませんでした。
まずは一緒に遊べる友達が欲しいと思いました。

 

【楽しみが倍になる】

 

試しにインターネットで探した婚活パーティーに参加してみることにしました。

 

はじめてのことでドキドキしました。
40代と50代が男女それぞれ10名程度が食事のできる会場に集まりました。

 

隣り合った2人がひとつのグループになって、男性が次々に20分毎くらいに移動していきます。

 

時間は2時間くらいあって、その間に連絡先を交換するのも自由です。
いったい何をしゃべったらいいのかわからずに、何度も来ているという隣の女性に会話をまかせてもっぱら観察していました。

 

3回目のチェンジがあったとき、前に座った温厚そうな男性と映画の話をしました。
元夫は、体育会系で背が高く筋肉質な感じでしたが、その方は、小太りで頭髪も少し薄くなっている人でした。

 

たぶん普段町で会っていたら目にもとめていなかったと思います。

ですが、とても優しい雰囲気があって、わたしの話をよく聞いてくれました。わたしが好きなのは、
ドイツやフランスのあまり大きな映画館では上映しないマニアックな映画です。

 

たいていひとりで行きます。変わった映画だし、誰も行きたいと言わないからです。

 

その方もよくそういう映画をおひとりで観にいくということでした。
還暦まであと3年だ、と言って、あなたから見たらおじいさんでしょう、と目を細めて笑っていました。

 

お子さんが2人いらっしゃいましたが、もうとっくに成人されて遠くにいるそうです。
お仕事は会社の法務関係ということで、わたしが税理士だと話すと、賢い女性は素敵だね、と言ってくれました。

 

今まで友人の紹介とかで何度か食事に行ったりした人はいましたがだいたい職業を言うと敬遠されることが多かったので、
こんな風にふわっと受け止めてもらえるのは、年齢差のせいかと考えました。

 

その人はいくつか同じ映画を観ていました。感想を言い合うとまったく違う感性があり、
わたしが見落としていたところを細かく説明してもらって、もう一度映画を観たような感覚を覚えました。

 

ふと、一緒に観たあとで食事したりお酒を飲みながらだったらきっと楽しいだろうな、と考えました。

 

【勇気をだして前に進もう】

会場では、何人かにメールアドレスを聞かれましたが、
なんとなく怖くて教えることができませんでした。どんな人かわからない、という思いもありました。

 

パーティーが終わって外に出ると、男性の中でハキハキした50代前半の人がみんなでカラオケに行こうと言いだしました。

 

 

わたしは、カラオケが苦手だし、どうしようかと思案していました。
そしたら、肩を軽く叩かれました。映画好きな人で唯一お話しができた人が、
一緒にお茶を飲みに行きませんか、と誘ってくださいました。ちらちらと他の人に目をやると、皆そういうことに慣れているのか、他の人には無関心な様子で安心しました。

 

こんなに年の離れた男性と2人でお茶を飲んだことはありませんでした。
男性に負けまいとして生きてきたことが嘘のように、寛げました。どことなく亡くなった父にも物腰が似ているような気がしました。

 

その方は、実は弁護士さんでした。でも、ああいうパーティーで職業を言うとその看板を見て、
私を見てくれないから言わないことにしてるんだ、と言っていました。

 

わたしには、言ってもいいんですか? と問うと、君は本質を見るのが仕事でしょう、と言って笑っていました。

 

その笑顔を見て、泣きたくなりました。まったく違う世界で生きてきたのに、
ほんの短い時間を過ごしただけで、わかってくれる人がいるんだということが嬉しかったのです。

 

20歳から15年も一緒にいてもわかりあえなかった人がいた。そのことでわたし自身心を閉ざしてしまっていたようです。
こんな人がいることがわかっただけで、前に進んで良かったと思えました。

 

その後彼とは2度映画と食事を楽しみました。これから再婚にいたるかどうかは、
わかりませんが、とにかく、心を閉ざしていては幸せにはなれません。

 

一緒にいてくれる人やその人と過ごす時間そのものに感謝する気持ちで、
楽しむことが幸せへの道につながっていると信じています。もし石ころにつまずいても、

すっと自然に手を伸ばしてくれるような人に出会えて良かったです。